COLUMNCOLUMNグーフィ森の『Single Speaker』

Single Speaker Vol.13 「ゲゲッ! 『舟唄』のハードロックバージョン!?」 

2014-07-31

体調が芳しくない中、この夏のフェスもお預けかなと考えていると、テレビから流れてきたコンサートイベントに釘付けになりました。それは『NAONのYAON 2014』の再放送プログラム。ハードロックファン、そしてガールズバンド・フリークとは言えないボクが、ひとり部屋フェスしちゃいました(笑)。『NAONのYAON』と言えばハードロックを中心にガールズバンドや女性アーティストが集結する老舗コンサートイベント。女性アーティストによる、言ってみればフェスの草分け的存在です。今年はボクにとって思い出深いバンドであるSHOW-YAがプロデュースするというのも気に留まった理由のひとつかもしれません。SHOW-YAはデビュー当時からの付き合いで、アメリカでライブデビューした時にも取材に駆けつけましたし、ボクのラジオ番組にもよくゲストで来てくれました。その彼女達のプロデュースによるイベントで、これまたなにかと馴染み深いプリプリのメンバーもサポートミュージシャンとして参加していましたから、惹かれたのも当然だったのかも知れません。

●ガールズバンド=ハードロックという方程式!?
懐かしい顔ぶれに和んでいる時、ふとこんなことを考えました。“ガールズバンドはなぜハードロックが多いのかな?”と、素朴な疑問が湧いたのです。はて? どこかで同じような疑問が湧いたような…。それはボクが現在参加しているFMのプログラムで、ガールズバンド特集をやった時のこと。音楽好きのスタッフがたくさん集まっているにも関わらず、ガールズバンドをなかなかセレクト出来ませんでした。和洋問わずその数の少なさに改めて気付かされました。その時にも“ガールズバンドってなぜハードロックが多いんだろう?”という疑問が持ち上がったのです。そのことを思い出した時に『NAONのYAON』が大きなヒントをくれました。それはこういうことではないでしょうか。ハードロックは良い意味でも悪い意味でもその様式美が非常に強い。様式美が強いと言うことはスタイルも完成させやすいということ。だからこそとっつきやすく間口が広いと言うことなのかもしれません。そこに若いガールズバンドがハードロックにハマる理由があるのだと思います。ただし、もちろん極めるにはテクニックの向上は必然です。SHOW-YAにしろプリプリにしろ、やはりウマイんだなぁ。きっとたくさんの汗をかいて掴み取ったテクニックとグルーヴ感なんだと思います。そんな先輩達に憧れを持つ若手ガールズバンド達が、今回数多く出演していたことに驚きと喜びを覚えました。若手ガールズバンドの演奏は全てに初々しく、テクニックを超えてシャウトする様は痛快痛快! ロック少年のボクにバンドの醍醐味と楽しみ方を改めて教えてくれました。

●アナログビートのグルーヴはやっぱりゴキゲンだ!
どちらかと言うとアンチ・ハードロックファンのボクが、1時間半にも渡るひとり部屋フェスとなって汗だくになったのはなぜだろう? と、これまた素朴な疑問が湧き上がりました。やっぱりハードロックというビート感なんでしょうか。最近のデジタルビートに少々ストレスを感じていたので、ガールズバンドが叩き出すハードロックのビートがとにかく心地よく響いたに違いありません。昨今の音楽のデジタル化で最も変化したのはリズムだと思います。デジタルビートは正確無比ゆえ無機質になりやすいという、いわば欠点があります。人が演奏することで生まれるグルーヴ感というものを一掃してしまう場合があるんです。デジタルビートでグルーヴ感を出すのは至難の技。すごくセンスが問われます。これは極端ですが、阿波踊りのお囃子がコンピューターMIXのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)風になったと考えてみてください。人肌あっての祭り囃子、だからきっと盛り上がりにくいかも。やっぱ♬ 踊る阿呆に 見る阿呆~ ♬ですからね…。やっぱり音楽は生がいいなぁ。夏は生です!? そんなことを考えさせてくれた『NAONのYAON』でした。

●弘法筆を選ばず!
いやしかし、驚きました。今回の『NAONのYAON』にはスペシャルゲストとしてあの八代亜紀が出演したのです。昨年開催された国内最大規模のメタルフェス『LOUD PARK』にサプライズ出演し、大喝采を浴びて話題になった彼女がまたもや登場。さすがウマイ! 様式美だとかビート感だとかグルーヴ感だとかあれこれ申しましたが、ジャンルやスタイルを飛び越してしまう歌唱力、これにはぐうの根も出ません。住宅メーカーのCMソングをジャズバージョンで歌う八代亜紀も素敵ですが、ハードロックバージョンで歌う『舟唄』はそれは凄まじい威力でした。なんというか音楽の異種格闘技とでも申しましょうか。紫のドレスを纏う八代亜紀は女王、まさにゴージャス。そのバックを務めるのはハードロックを奏でるガールズバンド。その登場といいマッチングといい、全てがサプライズ。いやいやここまでいけば立派な反則技。これぞエンタテイメントの醍醐味です。こういったゴキゲンな反則技とも言えるサプライズをゴチャリとちりばめて演出してくれれば、年末の国民的TVフェス『○○歌合戦』ももっともっとスリリングに、そして楽しくなりそうなんだけどなぁ。そんなことまでを期待させてくれた演歌の女王のサプライズ出演でした。

フェスにはオーディエンスを驚かせてくれるサプライズに期待しちゃいましょう!

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