COLUMNCOLUMNグーフィ森の『Single Speaker』

Single Speaker Vol.20 「お答えしましょう、Q&A」 

2015-03-31

前回お伝えしたように今回は今年一発目の読者からのご質問にお答えします。

●旅をした中で一番印象に残っている国または場所はどこですか?

どんな旅が出来たかで旅先の印象は180°変わります。いい旅が出来たなと思える時は当然その場所が好きになり、イマイチ全てが噛み合わなかったな、となればあまり好印象は残りません。で、予想外に嬉しいことビックリするくらいの出来事が多かった旅は、自ずと印象高くなります。旅とはそういうもんじゃないですかねぇ。

ということでご質問にお答えすると、いろいろ旅した中で最も好きな国は意外ですが南国の楽園でも歴史旧跡の都でもなく中米の「コスタリカ」です。親友であるカメラマン(サーファー)に誘われて行った旅先です。サーフィンパラダイスであることは知っていました。あとはコーヒーとハミングバード(ハチドリ)が有名で、ミスインターナショナルを多く輩出している国というくらいの知識しか持ち合わせていませんでした。そして現在のようなエコ大国であることはその頃(80年代半ば)はまだあまり知られてもいませんでした。そんなこともあり当時ボクの旅先候補として挙がることはなかったように思います。ところが行ってみると実にハマったハマった。完璧なまでに演出された人工的リゾート地とはほど遠く、全く俗化していないんです。中米なので少しは政情不安があり治安が良くないかと思いきや、とにかく気候も人も全てがゆったりのんびりとしていて快適そのもの。なにせこのコスタリカ、最初に行ったときは(計3度訪れています)4日間海を眺めるだけで何もしなかったのです。それまでそんな旅はしたことがなかった。北へ南へ東へ西へ、クルマをガンガン走らせ韋駄天旅というのがボクの旅のスタイルでしたが、このコスタリカでボクの旅が大きく変化したのです。何もしないことが最高の贅沢のひとつという旅の在り方を教えてくれたのが中米・コスタリカでした。


●“一度は訪れたし!”というお薦めの国または場所はどこですか?

旅先は、その人その人の趣味趣向レベルによるところが大きいと思うので、あくまでボクのお薦めを綴っておきます。ボクの旅の鉄則はその地が一番輝く時期に訪れるということ。寒い所は寒い時に、暑い地は暑い時に行くことが旅をより素晴らしいものに変えてくれると思っています。ボクが暑がりだからでしょうか、不思議なことに寒い地方に集中してお薦めの場所があります(笑)。

まずは冬のロシアの都サンクトペテルブルク。栄華を誇った19世紀ロシア帝国の都は、それはそれは他を寄せ付けない繁栄の足跡を街の至る所で見せてくれます。宮殿にしろ美術館にしろヨーロッパの古い都とは一線を引く圧倒的な豪華さに、まさに息をのむという時間を体験できます。
もう一箇所は冬のスウェーデンの首都ストックホルムです。北欧のベニスと称される運河の都はそれは美しいモノクロームの世界を体感させてくれます。インテリア小物好きにはたまらないかわいいショップもたくさん存在する街です。北欧家具を見てもわかるようにシンプルで洗練されたデザインですが、至ってリーズナブルな優れモノがそれは多くあります。


●まだ行っていない国で行きたいところはありますか?

これはちょっと難題ですねぇ。40数カ国、トランジットとして訪れた国を入れると70数カ国に渡る旅を体験しているわけですが、まだ一度も足を踏み入れてない大陸があるんです!? そう、南極大陸! 地球上で最も寒く過酷にして未知の大陸。ここには一度は足を踏み入れてみたいと常々考えていました。今では一般客を募るツアーまで存在するそうですから、ボクも一度は南極点に立ってみたいと思っています。
そして雑誌を作って世界中を飛び回っていた頃から考えていた旅があるんです。世界一寒い場所と世界一暑い場所を一度の旅行で訪れ、その温度差100度オーバーを体験するというクレージーな企画! 現在、世界一寒い場所は東南極ですが、世界一寒い定住地はシベリアのオイミャコン村といわれています。なんと冬の平均気温が氷点下50度。そして世界一暑い場所はアメリカのデスバレーで1913年に最高気温56.7度を記録。実はデスバレーには30代の頃に訪れていて摂氏48度を体験したんです。その時「だったら温度差100度の旅の特集が組めるんじゃない?」と考えついたのです。が、この企画は実現していません。なのでぜひともクレージーなこの企画を実現させたいと思っていたのです。どなたかこの企画に乗っかりませんか!?


ご質問に答えているうちにあの旅、あの地の思い出がグルグルと巡りました。嬉しかったこと、ビックリしたこと、感心したことなどなど…、旅はいつもボクの人生を豊かにしてくれました。間違いなくこのことだけはみなさんに声を大にして伝えたいと思います。“残しておきたい人生の1ページ”を増やすために旅に出掛けてはいかがでしょうか。

※『Single Speaker』に関する感想・質問などがあれば下記アドレスまでドシドシどーぞ!
message@kyodoyokohama.co.jp