COLUMNCOLUMNグーフィ森の『Single Speaker』

Single Speaker Vol.28 「テレビ三昧のお正月!」  

2016-01-13

お年始はゆっくりできましたか? ボクはここ数年テレビ三昧を決め込んでおり
ます。以前はありえなかったことですからね。年末年始は「猫の手も借りたい」
と騒いでいる輩の方がカッコイイとさえ業界では思われてましたから。コンサー
トの様々な準備にリハーサル、まさに「猫の手も借りたい」って毎日で、そういえ
ばあの頃「やっぱGoofyさんいつも忙しそうだね。さすがですね!」などと言わ
れて“まんざらでもない”という笑みを返していたように思います!? この「やっ
ぱ」と「さすがですね!」にあの時代はステイタス感があったりしたんでしょうね
(ペロリ)……!?。

で、今年の三が日もテレビ三昧です。おかげでテレビに関してアレコレ気付いた
ことがあります。

まずはスマホゲームのCMの多さにビックリ。朝からチェックを始め20種まではカ
ウントしていたんですが……夕方には、もはや選別できなくなり、果たして1日何
種類のスマホゲームのCMが何本オンエアされているのやら? そんなに誰しもス
マホゲームにハマっているんですかぁ? というのもiPhoneが発売を開始したの
がボクが大病を発症した年ですからね、まだ7年前ですよ! いったいどれくら
いのユーザーが現在存在しているんでしょう!? しかもですよ、スマホ関連のCM
のすべてのオンエアをカウントするとその数字はもっとスゴイことになります。
スゴイですねスマホ。

しかしちょいと気になることがあります。スマホ関連のCMの“ウリ”が無料とタダ
というキャッチばかりがズラッと並ぶことです。スマホゲームのほとんどがこの
パターンで、ゲームそのもののダウンロードは無料ですが、ゲームで使用する
様々なアイテム等は有料。ゲームのアップグレードももちろん有料。そしてそれ
ぞれが決して安くはない。入口は“タダ”、で依存症ユーザーが増幅、その結果高
額出費者が多発。あれあれどこかで聞いたような展開! そう考え出すと、“無
料”そして“タダ”というWordが俄然気になってきました。するとあるわあるわ、
無料をうたい文句にするCMがザザーッと。入口はタダ、あとは…。

景気の空白が20年続いたからって、入口が“無料”でもって……というパターンには
ちょっと首を傾げてしまいます。「うまく利用すれば、ずっとタダ。テレビなん
て昔からずっとタダじゃん!」。若者はこう主張します。その通りです。民放テ
レビは放送受信料金ではなく、番組スポンサー等からの広告(CM)等の収益で成り
立っています。視聴者が直接的に視聴料を払っているわけじゃありません(NHKや
ケーブルTV等は別ですよ)。人気番組を制作すれば、当然視聴率が上がる、視聴
率が上がればスポンサー料金やCM出稿料金も跳ね上がる。このテレビ業界の錬金
術は、無敵じゃないかと思われていた感がありました。バブルが弾けるまではね。

テレビメディアは、年を追うごとに巨大化し、創世記からその業績が延々右肩上
がりだったように思います。で、バブル経済が弾けテレビ業界はじめありとあら
ゆる業種が右肩下がりに。バブル崩壊から数年遅れであの“怪物”はやって来まし
た!  そう『インターネット』です。あらゆるエンターテイメント・ビジネスは
良きに悪きにこの怪物に、振り回されました。いや現在も振り回されておりま
す。グローバルという巨大メディアにして“すべて”をパーソナルレベルへと拡散
させてしまう(?)という、まさに新時代の怪物。しかもこの怪物、とにかく足が
速かった! ボルトかサニブラウンなみ(!?)。PC社会をメインフィールドとして
登場してきた頃は、快速のウワサはあったものの誰もがここまでの俊足・快速ぶ
りは予測できてなかったんじゃないでしょうか? しかし、その俊足は、スマホ
というこれまた恐ろしく進化したツール(デバイス)の登場で、さらにブーストさ
れ、ますます加速を続けているように思います。80年代・90年が活躍のメイン
フィールドだった人間にとってはまったくもって異次元なスピードです。先月
やっとダウンロードしたアプリが、1ヶ月も立たないうちに、「それもう古いっ
すよ!」と言われてしまうのですから。その進化の余りのスピードにその残像す
ら見ることができずにいるアナログ人間が多数存在してしまっているのもこれま
た事実です、です。

スマホの登場で世界最速の情報発信力にして世界最大の巨大マーケットを持った
メディアとなったネット社会。そのインフラ等を構築する企業も、いやそのネッ
ト社会を自身のメインフィールドとするユーザーでさえも、その恐ろしいまでの
加速の向かう先は見えてないんじゃないだろうか!? そしてその加速力の最大の
エネルギー源が、“安価・無料・タダ”という魔法の言葉によって若い世代に拡散さ
れる“お手軽感”というものになってしまってはいないか!? と、あまりぱっとし
ないお正月のテレビ番組を見ながらブツブツと独り言。古今東西「タダほど高く
つくものはない」と言うじゃありませんか!? あ〜ご注意・ご注意。

スマホの次に目を引いたのが、クルマのCM。いやぁ増えました増えました。クル
マ好きとしては嬉しい限りです。数が増えたばかりじゃなく、とにかく元気がい
いと言うか、自動車業界の自信さえ感じ取れます。最新の映像技術を惜しげもな
く盛り込んだ大作CMがわんさかオンエアされています。経済のネガティブな要素
ばかりが伝えられるなか、ちょっと嬉しくなってしまいました。また、若い新た
な自動車ユーザーを取り込もうとアプローチしているCMも多数登場して来ていま
す。不景気と少子化のダブルパンチで、新たな若いユーザー確保へのアプローチ
は半ば諦めていたというか、とにかく自動車産業界は苦戦を強いられてましたか
らねぇ。そういう意味でも、最近のクルマのCMに、“余裕”を感じられたことが、
これまたクルマ好きには嬉しい流れでした。まあボクが偉そうには言えませんがね。

このクルマのCMにも、「おやぁ〜!?」と思うところがありました。CMソングが流
れているものがほとんどないんです。あったとしてもビッグネームのアーチスト
のものばかり。しかも書き下ろしはほとんどなく、往年の楽曲の再使用ばかり。
若いユーザーにアプローチしたいわりには、なんとも踏ん切りの悪さが見え隠れ
しちゃいます。最新のクルマには最先端のCMソングっていうのがお決まりでした
けどね、かつては。このへんには難しい謎解きがいっぱいありそうです。マー
ケットの縮小・細分化、広告媒体の増加・増幅等々問題山積みってとこですか
ねぇ〜。広告媒体を半ば無限に拡散・細分化させたのも、結局インターネットな
んですけどね……ん〜ん難しい……ボクは未だインターネットが音楽業界にとって敵
なのか味方なのかわからないでいます。そして、この難問はメビウスの輪の如く
何処まで行っても終わりのこない、まさに難問になってるんです!?

とまぁ、このようなことを考えながらのテレビ三昧なお正月でした!

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