COLUMNCOLUMNグーフィ森の『Single Speaker』

Single Speaker Vol.36 「末端で最先端!?」 

2016-09-23

視力が少しばかり回復したことでテレビを見る時間がグ~ンと増えました。この8年あまり、テレビ鑑賞(とは言っても うまくは見えていませんが)と音楽を聴くこと(とは言っても うまくは聞こえていませんが)が半々の割合だったのですが、奇跡のような出来事 (視力カムバック)以来7対3で断然テレビに軍配が上がっています。テレビがこんなに楽しいとは、8年間忘れていたように思います。

8月5日のことです。今日は『タクシーの日』というニュースからトピックスは始まりました。へ~ぇ、記念日っていろいろあるもんだねぇ。なんて思っていると次のトピックスがすごかった。事件です!?
ボクの地元が突然の登場。“京都府北部 丹後地方で、日本で初めて世界で話題の自動車ライドシェアシステムのウーバーが導入されている”というニュースがドーンと全国放送の夕方のニュースで流れたのです

(すみません。清水ミチコがマネる黒柳徹子調の早口で読んでいただけますか!?)「ア~タご存知ですか!? ワタシの出身はですネ、昭和の時代は陸の孤島なんてヒドイことを言われていたくらいの田舎なんですから!! まぁ、確かにすっごい田舎なんですけどネ。そんなところがですヨ、夕方の全国ネットのニュースで出たんでス!! そりゃもうビックリしました。もう、ねぇえ、猫が間違ってワンッ! って吠るくらいのビックリでした!?」。とまぁそれくらいの驚きだったわけなんです。

Uberはみなさんご存知ですよね。世界70カ国で導入されている米国ウーバー・テクノロジーズの配車システム(アプリ)です。要は“いわゆる白タク / 自家用車有償運送サービス”です! それをボクの田舎がわが国初で導入しているというトピックなのです。

ボクの郷里は、近畿地方北部、若狭湾と日本海に突き出した丹後半島の京丹後市です。“平成の市町村合併”で丹後半島周辺の6町が合併統合し、いちおう市となりました。が、先ほど黒柳さん(?)がおっしゃったとおりの田舎です。そんなところで日本初ですよ、ライドシェアですよ!? んでもって、夕方の全国ネットのニュースです。これはもう事件です。そんな田舎でウーバー導入でタクシー戦争が火蓋を切ったっていう、“ホンマでっか!?”って話なんです…。ボクの記憶の中では、タクシー戦争なんて言葉とは無縁と思えるどこまでものどかな田舎風景がデンッと鎮座しております。

丹後では、自家用車有償運送行為が国から(制約はありますが)許可されています。これは2006年より日本全国各地にある公共交通空白地帯の町村に向けて行われた特区認定のようなものらしい(ボクもよく知らなかったです)。ボクの町はずいぶんと昔からタクシー会社は撤退していました。バスの運行も期待できないスカスカのガラ空きダイヤですから、町民の大半が車(自家用車)移動がメインになっちゃってます。ビックリするほどのご高齢の方も現役ドライバーとして頑張っておられます。だって高齢者ほどクルマが必要なんですよ、実際。総合病院なんてのも隣町まで行かないとありません。ショッピングモールはそのまた先です。なのに駅は町の中心からは1.5km離れてます。そして列車も(くどいようですが、田舎なので電車は走ってません。ディーゼル列車です)駅行のバスも当然スカスカのガラ空きダイヤです。ま、全国の過疎化が加速している地方では概ねこんな感じなんでしょうね。
そんな田舎でウーバーですよ。日本初ですよ。頑張ったでしょ我が故郷!? しかし、丹後を離れ早37年のボクは心配なのです。秘境、陸の孤島とまで言われていた地でWiFiは繋がるんだろうか? 山奥の村では、ちゃんとウーバーの利用者がいるんだろうか? ってか村のご老人たちは、端末をちゃんと操作してウーバーの予約ができるんだろうか? もう、あれこれ小姑の如くハラハラ、胸はドキドキです!?

で、話を続けましょう。ウーバーが導入されたことで、撤退していた2つの町のタクシー会社が京都タクシー連盟と京都最王手タクシー会社のバックアップのもと再スタートを切ったというのです。どういうことかと言うと、この丹後でウーバーシステムが成功を収め、全国に多数存在する過疎の町村から注目されるようになっては、いずれは既存のタクシー会社そのものの存在を脅かすことになるのでは。そして全国的にライドシェアが規制緩和されることになっては、タクシー業界にとって死活問題にならんとも限らない。ってことらしいのです。
いやはやなんとも、末端で最先端アプリ・システムの導入をめぐってのバトル勃発ということですかねぇ。全くもって、すごい時代になってきました。

音楽業界も同じようなことやってますよね。新しい技術が開発されると、既存のものが衰退してゆく。そういうもんですかねぇ? 止まると死んでしまうカツオみたいなもんですね。人間って、文明って!?

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