COLUMNCOLUMNグーフィ森の『Single Speaker』

Single Speaker Vol.40 「 とんだバレンタインデー!? Part1 」 

2017-03-08

今朝奥さんがこんなことを言い出した。「昨日寝る時に、何か1つ後遺症(ボクの)が回復するとしたら何がいいんだろう?って考えてたの。5つまでは絞れたんだけれど、なかなか絞込みが難しい…」う~ん、なるほど。確かに迷う。なにしろ後遺症は山盛り状態ですからねぇ。 さて、“神様お願い”は何にしましょうか?
奥さんが縛り込んだ5つは、視力のさらなる回復、聴覚の回復、疼痛の軽減、バランスの回復、口腔内の麻痺軽減なんだそうだが、う~んいいとこ突いてます。ボクもそんなところです。
考えたところで、正解があるじゃなし、希望が叶えられるわけでもない。でもなんだかワクワクしてきました。思い出しました、出しました。若い頃は毎日がこんな感じだったような…。無邪気になれて幸せな感じ。ちょいと考えてみましょうか。

まずは奥さんが最初に挙げた視力ですが、そうです昨年6月に突如視力が回復したんです。 今までは、ちょっと離れてしまうとボヤ~ッと見えるだけ、しかも視界はブレブレです。ちょうど地震の際の激しく揺れるお天気カメラのような感じなんだ、とみんなには説明してました。それがあの朝、まさに奇跡のような回復をみせたんです。そりゃもうびっくりしました。だって朝起きるといきなり天井が見えるんですよ!? でもボク以上に驚いていたのが眼科病院の担当医でした(偶然にもこの日は定期検診日)。先生は結構キャラクターの強い女医さんでねえ、もう目をパチクリパチクリさせて裏返った声で「で、ど、どうしたぁ?」って叫んだからね。奇跡のようなびっくり珍事でしたよ。

でね、視力が少し回復したのはすごく嬉しいのですが、以前にも増して目が疲れるんです。半端じゃないです。お天気カメラの激しい揺れは、ピントが外れているんで、激しく揺れてるなぁってぐらいに余裕を持って見てられますが、放送局内のカメラに画像が切り換わると、どうです? 机は大きく揺れ動き、ものがテーブルや棚からバンバン落ちてくる状態が映し出されます。ライトが激しく揺れ、映像がボケてブレブレのお天気カメラの映像よりも逆によりリアリティーがあって恐怖感があるでしょう、視界がクリアな分気持ち悪いでしょう、そんな感じなのです現在のボクの日常は。視力が少し回復したことで、かえって様々な不具合がわかるようになってしまったのかも…です。しかし9年目の奇跡、どこか哲学的というか、人生学とでも言ったらいいのか、改めて大切なことを病から教えられたようで、ちょっと複雑な気分です

そして目には障害がまだまだあります。複視という後遺症がありまして、左右の視野が1つにならず、すべてのものが二重(パラレル状態)に見えてしまうんです。でもって眼振という眼球が常に揺れ動く後遺症までありまして、手ぶれを起こしている写真や動画のような視野の中で日々暮らしております。さらには外転筋という眼球を動かす筋肉が麻痺してるんで、右目は右外へは動きません。また色バランスもちょっと狂っていて、すこし色あせたセピア色の写真のようです、右目はね。
ざっと挙げても目の後遺症だけでこんなにデカ盛り!? そんな中、6月に起こった視力の回復。もう大金星、一等賞。まだまだ不具合は多いですが、以前とは比べ物になりませんからね。なんたって人の顔が見えるんですから、わかるんですから!? これデカイです。見えるってホント素晴らしい !!

次は耳。こちらも後遺症山盛りです!? 耳も左右でてんで違うんです。右耳は聴力が低く感度がかなり悪い、正常な聴力の約半分くらいでしょうか。しかもえらくこもっています。左耳は正常な聴力の約3割ダウンの聴力で、それなりに聞こえます。そして双方の耳には激しい耳鳴りがあります。またもや少々複雑で、耳鳴りの症状も左右で異なっていて、右耳はピーピーケトルのお湯が沸いた時の状態で「ピーッ」と鳴ったり、ジェット機のように「キーン」と暴力的な音ではありませんが、結構うるさいのです。左の耳鳴りはかなりデカく、蒸気機関車が急な登坂車線を登って行く時のように、「シュッシュッシュッ」と苦しそうな大きな音でそりゃ騒がしい(昭和っぽい!?)。で、両耳ともに聴覚過敏という厄介な後遺症まであります。これは耳が遠いくせに聴覚が異常に過敏になってしまっているというもの。わかりにくいので実例で説明しましょう。ボクがリビングでテレビを見ています(まともには見えていませんが)。台所で奥さんが炒め物を始めると、もうテレビは何を言っているのか聞き取れなくなるんです。そりゃ誰だってそうでしょ、とお思いでしょうが、ちょっと違うんです。炒め物をする音はそんな大きくないんです。炒め物の音を聞きたいなんて思ってませんが、小さくて聞き取りにくい音へと耳(正確には脳)が判断し、そちらに感度をフォーカスしちゃうんです。だからテレビの音は爆音になってしまい割れてしまう。聞き耳をたてる、まさにそのコントロールがうまくできない状態なんでしょうね。だから街に出かけるにはかなりの勇気が必要となるんです。無数の音が爆音となってシャワーするのです。砲弾飛び交う戦場最前線へワープしてしまったかのようで…、できれば避けたいですね外出は。だから家から出るのは、月6回のリハビリ通院の時ぐらいです。発症した直後は、左右に耳栓をして万全の態勢で銀座へショッピングなんてのを何度かチャレンジしていましたが、どんなに強力な耳栓をしても、聴力には骨伝導って機能もありますから、結果無理でした。交差点なんて恐ろしいほどデカいクラクションやらバスやトラックの排気音、そりゃぁもう音地獄です。発病直後には、この聴覚過敏がそりゃぁひどくてねぇ、近くで誰かが新聞紙を丸めたり、レジ袋を触ったりしようものならパニックです!! クシャクシャ音のバズーカ砲炸裂です。音を生業にしてきた人間が、今 音の逆襲にあってます(好き勝手言ってきましたからねぇ~、いいだの悪いだの散々ねぇ)。苦戦中です、今!?

年末になると、福山くん(福山雅治)がライブに招待してくれるんです。ですが、悲しいかな彼のライブのゴージャス過ぎる音量では、素晴らしい(だろう)演奏が、爆音にしか聴こえないというか、もう何が何だかわからない状態です。強力な耳栓をしてもとてもとても聴いていられません。ならばとスタッフたちが楽屋に大型モニターを設置し、生中継の画像を見られるようセッティングしてくれます。コンサートのスタッフたちがボクをライブに参加させようと、もうあの手この手をつくしてくれます。ありがたいことです。この大型モニターでライブ本編ラストの大盛り上がりブロックを鑑賞し、エンディングのアコギ弾き語りコーナーで会場に出て、フィナーレへと向かう場内の緊張感に浸り、大きくなった友へ“ありがとう”と拍手を送るのです。これが毎年恒例の我が家の晦日行事となっています。

てなことを言っておりますと事件事件、またまた大事件。ちょうどバレンタインデーのこと、リハビリに向かう介護タクシーの中で事件は勃発しました。耳鳴りがふだんより随分デカイなぁと思った直後のことでした。なんだか視界が変なのです。どんどんアンバーが強くなり、濃いセピアカラー写真のように…、しかもどんどんフォーカスが外れていきます!? つまりボヤケていくってことです。これ、結構ピンチです。こうやって思い出しながらレポートすると随分落ち着いているように思えるでしょうが、いやぁ焦りましたよ、めちゃめちゃ怖かったです~。結局、リハビリテーション病院へ着く頃には(その間30分)、右目の視力はほとんどなくなってしまいました。やれやれ後戻りかぁ…。ショック大きいです。パニくり度合いはかなりのもの。本当にとんだバレンタインのプレゼントです。あっバレンタインデーって普通男性がプレゼントあげる方ですよねぇ(笑)。

あれあれ、後戻り話なんかしてたらもうこんな長文。思い通りにならないカラダへの不満、その溜まったストレスのガス抜きのようなコラムに付き合っていただきました。あいすいません(ペコリ)。次回新展開のpart 2にまたお付き合いください。おもしろいはず (ですです) 近日アップです!!!

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