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グーフィ森のSingle Speaker

プロフィール
1956年、京都府生まれ。大阪芸術大学卒業。雑誌「ポパイ」「ターザン」などの編集を手掛け、フリーランスのエディターとして活動。
その後、音楽・映像のプロデューサーとして様々なアーティスト(今井美樹・喜多郎・福山雅治など)、並びにイベント、商業施設、CM等を手掛ける。
また、MTV JAPANの創立時の総合プロデューサーでもある。
編集者の経験を活かした多角的な視野から構築されるプランニング&プロデュースで数多くの作品を送り出している。
2008年夏に脳幹出血により倒れ一線から身を引き、ただいまリハビリ奮闘中である。
そして自身がプロデュースするラジオ番組もオンエア中!番組詳細はこちら

2015-11-11
Single Speaker Vol.26 「ミシュラン・レストランガイド 音楽版!?」 
最近オーディオのWEBカタログばかりを眺めています。気持ち程度ですが聴覚が落ち着いてきたように思えるので、も少し“いい音”に包まれたいなぁ、とプチ贅沢な気分を楽しんでいるわけです。新しいオーディオ購入後のシミュレーションなどしながらニヤニヤとね(妄想マニアか…!?)。

しかしオーディオの世界はすっかり様変わりしましたねぇ。ハイレゾにネットワークプレーヤー、デスクトップアンプにBluetooth内蔵、でもってWi-Fi対応……なにやらPC関連製品のようなワードが並びます……ほんとネット社会はどこまでも浸食・増殖します。ネットインフラの整備が進みスマホがもの凄い勢いであらゆるジャンルへと拡散。前にもお話したように音楽産業は大変革の嵐でそりゃもう大騒ぎ。 “音楽コンテンツは無料でダウンロードできるもの! スマホに音のいいイヤホン型ヘッドホンさえあればオーディオなんて必要なし!” なんて音楽産業にとってはいいやら悪いやらの風潮を若者を中心に蔓延させてしまったのですから……スマホは。ですが……その反動なのでしょうか、アナログレコードが全世界レベルで世代を越えての大ブームとなり、加えて高級オーディオにもスポットライトが当たり、その売り上げの方も右肩上がりと聞きます。わからなものですね〜、まったく。

そんな昨今ですが、世のトレンドに乗っかってオーディオ、オーディオとボクはザワザワしているのではありません(これまた言い訳かも?)。7年間コツコツと飽きもせずリハビリを頑張ってきた自分へのご褒美に……などと甘いことを考えているのです。以前このコラムでも紹介したように、現在はレコーディングの最終工程で“音確認”をするために使っていたウッドコーン製シングルスピーカーのミニコンポを鳴らしています(もちろん市販モデルです)。障害てんこ盛りの耳には、小音量でバランスよく優しい音で鳴ってくれるこれくらいのオーディオで十分かな。と思っていたのですが……。ハンデを抱えた耳にはもったいないと手放してしまったフィンランド製のモニタースピーカーと英国製リスニングスピーカーそして米国製オーディオアンプのコンビが鳴らす、あの圧倒的に素晴らしい音の記憶が今スッゴク懐かしいのですです(ちなみにこちらプロ&ハイエンドユーザー向け)。で、オーディオ情報を求めネットサーフィンな日々なわけです。

すごいことになってます。英国製、米国製、イタリア製に北欧製、そしてドイツ製、あるわあるわオーディオ情報がビックリするほどWEB上に溢れています。数年前とは比べものにならないレベルで存在してます。このことからも高級オーディオの人気ぶりがわかるというもの。なにやらワクワクしちゃいます!

しかし待って下さい。アナログレコードブームにオーディオブームと音楽業界にとっては嬉しいニュースばかりに思えますが、業界全体がパッと明るくなるほどの勢いのある広がりは感じられません。むしろ近年はそれ以上に音楽業界にとっては負の要素の増幅の方が勝ってしまっているように思います。アナログレコードと言ってもアナログ音源時代の再販モノが主流を締めてのようですし、高級オーディオの購入者数よりもスマホで音楽を聴くという新世代のリスナーの増幅数の方がそりゃもう圧倒的に多いのです!ウ〜ン、困った。ウキウキ・ワクワクムードから困ったちゃんムードになってきちゃいました。次はどのオーディオにしようかと悩むよりも、この音楽業界の低迷ムードをなんとかせねば!? なんて気分に、音楽に楽しい人生をプレゼントしてもらったと信じているロック少年としては考え込んでしまうのです!? いい手立てはないものですかね。音楽業界がパッと明るくなるための起爆剤となるような手立ては……。

じつは最近ふと思いついたことがあるんですが……。ミシュランのレストランガイドの音楽版のようなものが作成できないものでしょうか!? 料理の味、オリジナリティ、店のホスピタリティ等々、あの格付けガイドブックはじつによくできていると思えるんです。格付けの選定基準、そして方法論等々すべてが参考にできるんじゃないかと。

そんなことをぼんやりと考えついたのは、リハビリ生活が始まった頃のことです。とにかく恐ろしいほど自由な空き時間が生まれましたからね。そこで思いついたのが、今まで聴きそびれていた音楽をじっくりと聴いてみようということでした。なにせボクのリスニング遍歴はすこぶる偏りがありましたからね。フォーク&ロックを中心にポピュラー音楽全般、しかも50年代〜80年代の洋楽中心というもの。ですから興味はありつつも聴きそびれていた音楽がドッサリあります。そこで以前から気になっていたジャズとクラッシックから始めてみようとは思ったのですが、さぁ大変、どこから手を付けて良いやら。得意の分野なら、この人物が薦める音なら聴かねばなるまい。というように指針となるべき音楽評論家だったり音楽雑誌があったりするんですが、未開拓分野ではどうにも苦戦ムードが続きます。そんな時です「ミシュラン・レストラン・ガイドブックの音楽版があればなぁ」と考えたんです。ヨーロッパに取材旅行に出掛けた際には、この本には随分とお世話になったものです。「今晩は、デーンと構えて三つ星レストランと奮発しますか!」とか、「今日は格好といい、懐具合といい、一つ星レストランかな」とかとか、ほんとお世話になりました。クルマで旅行する人のためのレストランガイド、それをタイヤメーカーが提供する。なんとも理にかなった話です。旅行会社や出版社が提供するガイドブックではないので、激しい利害関係の真っ只中にさらされず、そのデータに抜群の信頼性とオリジナリティがあります。だからこそ世界で人気のグルメガイドになっている1冊なんだと思います。もちろんレストランと音楽作品では絶対的にその数が違いますし音楽はジャンルも多岐にわたります。難しいとは思います。だからこそと思うのです。「ミシュラン・レストランガイドの音楽版があればなぁ」と! いろんな意味で音楽業界の活性化に繋がるいい起爆剤になると思うんですがねぇ。どうでしょうか?

※『Single Speaker』に関する感想・質問などがあれば下記アドレスまでドシドシどーぞ!
message@kyodoyokohama.co.jp  

 
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